2017年05月17日

改・順序数と基数


ご無沙汰です。
ずいぶん前に公開した「順序数と基数」がtypoがひどすぎると指摘されていたので、GWを使って修正しました。
内容はほとんど変わっていませんが、修正したおかげで読めるようになったと思います。
集合論自体には興味ないけど、順序数と基数の基本的な事実だけ知りたいよーというような人が参照できるように書いてあります。

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posted by Eureka GAP at 22:35| 数学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年12月29日

強制法入門


都数夏合宿で発表した「強制法入門」のレジュメを公開します。実際の発表でしたような解説も説明として書き加えたかったのですが、どうもうまくいかなかったので、そういうのはまたブログ記事として書こうかなと思います。あくまでも強制法の雰囲気を伝えるために書かれたものなので、強制法を真面目に勉強したいという方は参考文献をどうぞ。


[追記]2016/2/21に多数の誤植訂正などを行いver 2.0を公開しました。以前と比べてかなり間違いは減ったと思いますが、誤植などを見つけた方は教えてくださるとありがたいです。
ラベル:集合論 PDF
posted by Eureka GAP at 19:11| 数学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年12月28日

巨大基数とは何か(3)


お久しぶりです。前回巨大基数の存在はZFCから証明できないどころかその無矛盾性すら示せないことを書きました。今回はそんな巨大基数を考える理由についての話です。巨大基数を考えるモチベーションを2つの観点から説明しようと思います。今回の記事は未定義語がたくさん出てきますがあしからず……。

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1. 無矛盾性の強さを測る基準としての巨大基数

巨大基数は弱到達不能基数、強到達不能基数以外にも色々な種類のものが考えられています。例えばMahlo基数、弱コンパクト基数、可測基数、Woodin基数、超コンパクト基数、膨大基数などなど。今ここで挙げた巨大基数の存在の無矛盾性の強さは後になればなるほど強くなっています。つまり、
Con(ZFC+膨大基数が存在)$\Rightarrow$Con(ZFC+超コンパクト基数が存在)$\Rightarrow\cdots\Rightarrow$Con(ZFC+Mahlo基数が存在)$\Rightarrow$Con(ZFC+強到達不能基数が存在)$\Rightarrow$Con(ZFC)
となっています。逆は言えません。また、このような無矛盾性の強さはほとんど巨大基数の「大きさ」と一致しており、例えば$\kappa$が可測基数ならば、$\kappa$は弱コンパクトであり、Mahloであり、強到達不能です。今挙げた例以外にも巨大基数はありますが、それらも同様に無矛盾性の強さで並べてみると、不思議なことにほとんど一直線に並びます。(Kanamoriの『巨大基数の集合論』の巨大基数の表を見てみましょう!)この巨大基数のなす無矛盾性の階層は、ZF(C)+$\phi$というような公理系の無矛盾性の強さを測るうえでの基準となります。いくつか無矛盾等価の例を挙げてみましょう。

定理(Goedel, Cohen) Con(ZFC+連続体仮説)$\Leftrightarrow$Con(ZFC+連続体仮説の否定)$\Leftrightarrow$Con(ZFC)
定理(Solovay, Shelah) Con(ZF+「すべての実数の集合はルベーグ可測」)$\Leftrightarrow$Con(ZFC+強到達不能基数の存在)
定理(Woodin) Con(ZF+決定性公理)$\Leftrightarrow$Con(ZFC+Woodin基数が無限個存在)

このような無矛盾性証明によって様々な命題の無矛盾性の強さが巨大基数を通じて分かるわけですから、巨大基数を考えるありがたみがひしひしと感じられます。もちろん、これらの無矛盾性証明は全く容易ではなく、実際、いまだにその無矛盾性の強さが不明な重要命題(Martin's Maximum)も存在します。

2. ZFCを強化するような仮定としての巨大基数

ZFC上の独立命題は色々とありますが、それらの中でも巨大基数の存在仮定(以後単に巨大基数公理とよびます)はZFCを強化する「正当な」仮定として重要です。この正当性の背景には矛盾のない範囲でできるだけ大きな集合、多くの集合の存在を認めたいという思想があります。この思想について詳しく語ることは大きく自分の能力を超えているので諦めることにして、巨大基数公理を認めることで起こる嬉しいことについて紹介しましょう。例えば、$V\neq L$という命題について考えてみます。ここでいう$V$とはすべての集合のクラス$\{x:x=x\}$のことで、$L$とは構成可能宇宙とよばれるZFCのモデルのひとつです。$L$はZFCのモデルの中でも「最小」のものであり、なるべく多くの集合の存在を認めたいという立場からすると、$V=L$ということはあまり考えられず、$V\neq L$を示したいという気持ちがあります。ただし、無矛盾性の観点からいえば、ZFC+$V=L$もZFC+$V\neq L$もZFCと無矛盾等価です。つまり、ZFCでは$V\neq L$を示すには力不足なのです。この状況は巨大基数公理によって打破できます。

定理(Scott). 可測基数が存在すれば、$V\neq L$である.

このように、成り立ってほしいがZFCでは示せない命題というものがあり、それらはしばしば巨大基数公理から導かれるのです。記述集合論を勉強するとそういう例がたくさん出てきます。

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以上、なぜ巨大基数を考えるのかということについて簡単に話しましたが、「巨大基数公理はどこまで無矛盾だろうか?」「巨大基数はどこまで存在するのだろうか?」という疑問は残ります。これはかなり重要な問題ですが、集合論者の間でも統一された見解があるわけではないようです(と言っても可測基数の存在とかそういったマイルドな巨大基数公理の無矛盾性を疑っている人はほとんどいないと思うのですが)。集合論がさらに発展すればひょっとするとこの疑問も解決されるかもしれませんが、どういう決着がつくのかは見当もつきません。

この記事を書くにあたり、Kanamori『巨大基数の集合論』と薄葉・藤田『現代集合論における巨大基数』を参考にしました。特に後者の記事は一度読んでみることをお勧めします。

[終わり]

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ラベル:集合論
posted by Eureka GAP at 13:24| 数学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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